猫の分離不安が増えている!不安になる原因と治療方法
2017/04/09
猫をお留守番させておくと、留守の間ずっと鳴いているようだ。
体を見てみるとケガをしていたり、毛をむしっている跡がある・・・
飼い主の留守中、こんな症状を見せる猫は「分離不安」になっている可能性があります。
とくに最近の猫に多いといわれており、犬ではよくあった問題が、猫にも見られるようになりました。
今回は猫の分離不安について、その原因と治療方法などをご紹介します。
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分離不安ってなに?
分離不安という言葉は、もともと犬によく使用されていました。
飼い主が家から離れて、犬が1匹になると、飼い主がいない不安、寂しさから通常とは違う行動をとってしまうことです。
犬は集団で暮らす動物だからこそ、群れのリーダーである飼い主がいなくなってしまうと、極度の負担を感じてしまいます。
飼い主が外に出ると分かったとたん鳴きだしたり暴れだしたり、わざと物を壊すなどの破壊行動や、トイレでない場所で粗相をしたりします。
分離不安の症状はは30分後から表れる場合も多く、短時間の外出中犬が騒がなかったからといい、うちの犬は大丈夫、ということではありません。
子犬のころから飼っていた犬で、それまではスーパーなど短時間で帰る外出ばかりだった例があります。
専業主婦の奥さんがパートに出るようになった途端、近所からクレームがくるほどの遠吠えと物の破壊を繰り返し、パートを辞めざるえなかったというケースがあり餡巣。
犬にとって、飼い主という存在の比重が大きいため、このような分離不安になってしまう犬が多いとされます。
猫の分離不安が増えている原因
一方猫はというと、もともと単独行動で暮らしており、本来は集団生活を好む動物ではありません。
そのため、今までは猫の分離不安はほとんど知られていない、発症するケースが少ないものでした。
しかし近年、猫でも分離不安を発症する猫が急増しているとされています。
その理由は、
・猫ブームで初めて猫を飼う人が急激に増えた
・1匹飼いの猫が多くなった
・完全室内飼いが定着した
・猫を子供のように可愛がる飼い主が増えた
このような理由から、猫にも分離不安を発症する猫が多くなったようです。
猫も他の猫や動物と戯れることなく、子猫のころからずっと人とばかり一緒だと、猫も猫らしい自立性を身に着けられなくなります。
室内飼いになることで野生の本能の力が低下し、猫としての単独行動を好まなくなるのです。
人間の成長でも、血筋や遺伝よりも、育った環境や周りの人の接し方が人格形成には重要とされていて、猫にもそれが当てはまるということです。
分離不安になりやすい猫の特徴
・母猫から生後3か月以内に離された猫
・兄弟猫と遊ぶ時間が少なかった猫
・1匹飼い
・子猫のころからずっと人が傍にいた
・子猫~2才未満
・家の中で後をついてくる
・家の中で一人になりたがらず、同じ場所にいたがる
・一緒のベッドで寝る
・ほかの猫や犬を怖がる
・すぐ膝に乗ってくる
・無口なほうではなく、普段からよく鳴く
・30分~1時間以上、家を空けることがあまりない
このような特徴・環境がいくつかそろっている場合、分離不安になることがあります。
今現在、猫が分離不安の症状を出していなくても、突然発症する場合があります。
そのきっかけとして多いのが、家族の生活スタイルの変化です。
日中家に人がいるのが当たり前だったのに、家にだれもいない時間が増えた。
結婚などで、大好きな飼い主が家からいなくなってしまうなどの場合も、分離不安を発症することがあります。
猫の分離不安の症状
・破壊衝動、物を壊す
・トイレでない場所で粗相する
・留守中ずっと鳴いている
・玄関前をうろうろして離れようとしない
・飼い主が外に出る準備をしだすと猫が落ち着かなくなる
・普段から鳴くのが増える
・食欲が落ちる
・体重が減る
・下痢・おう吐がみられる
・毛づくろいを必要以上にする
・毛が脱毛している箇所がある
体の中で起こっている異常
分離不安になると、上記のような症状を引き起こし、飼い主にとっては心配であり大変になります。
このとき、猫の体の中では何が起きているかというと、血圧の上昇、脈が速くなる、体の不調など、様々な変化が起きています。
人間でいうと、汗が吹き出し、鼓動がドキドキと聞こえるくらい早い音で、叫びだしてしまうような状態です。
分離不安が解消されずにこの状態が長く続くと、うつ状態に近い状態になります。
治療法も、うつ状態を解消させる処置をとることになります。
猫にもうつなんて存在するの?と驚きますが、気持ちが不安になってしまうのは人も猫も同じなんですね。
分離不安を治療する方法
分離不安を治すポイントは、過剰に猫に接することをやめて、ある程度の距離を保つということです。
通常の、遠くに猫がいて、機嫌がいい時だけすり寄ってきて、頭をなでるとそそくさと逃げていく、というような猫らしい状態にすることが理想です。
その猫の個性や性格を曲げるということではなく、猫に「わたしは必ず帰ってくるから、大丈夫だよ」という安心感を持たせてあげることが大事です。
猫は不安なあまり異常行動を起こしてしまうので、その不安を取り除いてあげましょう。
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家にいるときも過剰に接さない
分離不安を起こした猫の100パーセントは、普段から飼い主に過剰に甘やかされています。
テレビを見ている間ずっと膝にのせて猫の頭を撫でていたり、人間の子供のように話しかけたりという行動をとっています。
分離不安を起こしていない猫にならこのような行動をとってもいいですが、気持ちが不安定な猫にはこれはまずい行動といえます。
飼い主も猫も、過剰に接しすぎていて、猫は飼い主なしでは落ち着けない状態にまでなってしまいます。
明日から100パーセント接触を禁止するのではなく、徐々にコミュニケーションの時間を減らしたり、頭を撫でる回数を減らしてみましょう。
猫が膝に乗ってこようとしてもすかさず立ち上がったり、猫にもその姿勢を見せることが第一歩です。
寝る場所を離す
分離不安を起こす猫にこの原因も多いのですが、猫と一緒に寝ている人が多いです。
動物にとって眠るという行動は重要なもので、野生においては危険な行為です。
そんな危険なとき、飼い主と一緒に眠ることは安心感は与えますが、逆に飼い主がいなくなったときに不安感を増幅させてしまいます。
別の部屋に猫用のクッションや毛布を用意して、寝室の扉は閉めておくなどの対策をしましょう。
寒い地域の場合は、夜の間はこたつを入れておくのも手です。
あまりににゃーにゃーと鳴く場合は、寝室にゲージを用意して、飼い主はベッドで、猫はゲージの中で寝る。
というように寝床を強制的に分ける方法もあります。
こうすると、甘えん坊な猫でも、飼い主の姿を見ながらも別々に寝ることができるので効果的です。
ついて回るのをやめさせる
キッチンに行くにも、トイレに行くにも、家の中ならどこへでもついてくる猫がいます。
この行動をする猫は母猫から親離れする機会を与えられなかったという原因があり、つけまわされる飼い主のことを母猫だと思っています。
母猫の場合は、子猫が大きくなるとわざと突き放して自立を促しますが、人にはそれができません。
自立する機会を奪われた猫なので、かわいそうですが、猫のためにも猫がついて来ようとしたらドアを閉めてしまいましょう。
別の部屋で用事を済ませた後、猫がいる部屋に戻ってくるという風に、つけ回しをやめる訓練をしましょう。
リラックス音楽をかける
猫は耳が人の10倍よく聞こえるとされますが、実際に、生活音はそれほど聞こえていません。
猫の耳は向けている方角などによってある程度音量の調節ができ、ボリュームを抑えて聞くことが可能です。
そのため、猫がテレビの上で寝るということがあるんですね。
そこで、猫のお留守番中にヒーリング音楽である、リラックスを促す音楽をかけるという方法があります。
音楽は植物の成長にも効果があることが実証されていて、動物にもある一定の効果があるとされています。
この音は猫のリラックス、快眠ために作られた、バイノーラル技術を使用している音楽です。
じっさいにうちの猫で試してみたところ、うるさく鳴いていた猫が急にぴたっと大人しくなりました。
猫用ゲージを用意する
分離不安を起こす一つの原因に、飼い主がいなければ自分の縄張りを守ることができないという理由があります。
猫は縄張りを重視する生き物で、室内飼いの猫は家全体のことを自分のテリトリーだと考えています。
分離不安を起こす猫は、自分ひとりで縄張りを守っているわけではなく、飼い主とともに守っていると考えています。
そのため、警備の一人である飼い主がいなくなってしまうと、途端に不安になってしまいます。
そこで、お留守番のときは猫用のゲージに猫を入れて、縄張りの範囲を狭くしてしまいましょう。
ゲージを使用する場合は慣れさせるために、普段からゲージに自由に入れるようにして、安全なものと認識させておかなくてはなりません。
ゲージの中でも問題なく猫が眠れるようになれば、お留守番中も不安を感じることなく静かに寝ることができます。
外出するとき特別な行動をとらない
「猫の知能は犬と同じレベルなのが判明!頭の良さを動画で比較してみる」でも書きましたが、猫は頭の良い動物です。
全世界の動物の頭の良さランキングでも、10位に入る知能があるとされています。
そんな猫は、飼い主の行動を覚えて、このバッグを手に取ったら出かける。
チャリンとカギの音がしたら外に出かける。ということを知っています。
そのため、出かける前の行動を異常に気にするようになり、出かける前から猫が足元を離れなくなり落ち着かなくなります。
それを防ぐために、バッグを手に取ったり、カギを鳴らしたり、出かけないときでも意識的に使ってみましょう。
それをしても飼い主は外に出かけないとわかると、猫も安心することができます。
帰ってきたとき過剰に反応しない
飼い主が帰ってきたら、その間不安だった気持ちをぶつけて飼い主にたくさんかまってもらおうとします。
そこでよしよしと頭を撫でてかまうものですが、ここはぐっと我慢して、猫をスルーしましょう。
お風呂に入って着替えて、無言でテレビを見ます。
猫は鳴き続けますが、そこをこらえましょう。
ポイントは、少しなきやんだところで初めて頭を撫でてあげます。
猫に、一人でもお留守番できなきゃだめだよ、と教えてあげましょう。
多頭飼いする
分離不安にとても効果的なのが、猫を複数匹飼うという方法です。
分離不安の猫を調査してみると、多頭飼いしている猫はほとんどおらず、ほとんどが1匹で飼われていることが分かりました。
多頭飼いの猫に、分離不安を発症している猫はあまりみられません。
やはり同じ猫がいるということは心強く、不安に感じる気持ちがなくなるようです。
これは犬などの動物を一緒に飼っている場合も有効ですが、亀やハムスターなど、猫とのコミュニケーションが難しい動物では効果が薄れます。
物を壊す・粗相したことに怒らない
分離不安になると、通常ではしない粗相や物を壊すなどの破壊行動が多くなります。
家に帰ってくると花瓶が割れていた・・・となるとショックですが、そこで猫を叱ってはいけません。
猫は現行犯ではない限り、何について怒られているのかは分からないので、ぐっと我慢しましょう。
分離不安を起こしている猫はうつ状態に近いので、そこで怒ってしまってはますます症状が悪化してしまいます。
飼い主との信頼関係も崩れて、猫の体調が悪化する原因となるので気を付けましょう。
自然に治る場合もある
飼い主が別の部屋へ移動し、1歳の猫が絶え間なくニャーニャー鳴いています。
家じゅうついて回るのをやめさせておかないと、このようにちょっとしたことでも分離不安を起こしてしまいます。
この猫は現在4歳になっていますが、自然と分離不安が落ち着いたそうです。
このように、「飼い主は日常的にどこかへ出かけるんだ」と猫が理解すると、「必ず帰ってくるんだ」とインプットして、自然に治ることもあります。
とくに子猫~2歳ごろまでは、甘えたい盛りなので自立できにくい猫がいます。
そこで過剰に甘やかさなければ、年齢とともに徐々に落ち着いてきます。
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