猫のてんかん発作は治療できる!原因と症状、治療法まで
2017/09/17
てんかんという病気は、脳の神経回路がショートして、体中が硬直して痙攣をおこす病気です。
見ているととても辛く、なんとかしてあげたくなりますが、発作中は見守ることしかできません。
わたしが飼っていた猫も、1匹だけてんかんになった猫がいて、発症してからはずっとてんかんと闘病していました。
今回は、てんかんという病気について、治療法や発作の時するべきことなどをご紹介します。
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てんかんという病気について
猫にてんかんというのは、あまり聞きなじみがないかもしれません。
発症率は、猫が100頭に1頭以下で0.3-1.0%ほどと、数としては少ない発症率となっています。
てんかんはどうして起きるのかというと、簡単に言うと、脳のなかの神経回路がショートしておこる病気です。
ふだんは普通の猫とどうように寝たり食べたりしながら暮らせますが、ひとたび発作がおきると、体が痙攣してしまいます。
毎日てんかんを起こす猫もいれば、1か月に1度、半年に1度など、頻度が長い場合もあります。
脳の病気なので、治るということはなく、時間がたつにつれて悪化していく場合が多いです。
発作の頻度が高くなると、重度のてんかん症状となります。
てんかんの症状
てんかんの症状は、軽度なものから重度なものまであります。
軽度なものだと、足や頭などの一部分がぴくぴくと動く程度です。
中度だと、頭から始まって手足に痙攣が広がり、全身がビクビク動くような症状をいいます。
重度の症状は、全身が硬直して痙攣し、体の揺れ方もバタバタと、見ている側にも強烈な印象を残すほどです。
短い発作で10秒ほどで収まり、通常でも1~3分程度のあいだに収まります。
何度も発作を繰り返す場合は、重積発作といい、危険な状態の可能性があります。
発作中は意識がない
てんかんの発作をおこしているときの猫の様子は、見ていられないくらい痛ましく映ります。
しかし知っていて欲しいのが、発作が起きて痙攣しているときは、猫は意識がないということです。
つまり、体のひきつりを感じることも、苦痛や痛みを感じることはありません。
発作が収まったら、「どうしたの?」というように、けろっとしているのはそのためです。
このとき、心配だからといって、体をゆすったり、動きを止めようとしてはいけません。
脳のショートが原因なので、そのまま自然に痙攣させておくことがもっとも正しい処置となります。
発作のときするべきこと
発作の詳細を記録しておくことは、けいれんの種類や病院での治療方針、てんかんの重症具合を診断することに役に立ちます。
慌てずに落ち着いて、メモを取っておきましょう。
・けいれんしていたときの時間の長さ
・発作を起こす前、猫は何をしていたか
・発作はどの部位から起こったか
・どのような動きの痙攣であったか
・痙攣しているときに呼びかけて反応はあったか
・発作の後の様子はどのようだったか
・歩いたり毛づくろいをしたり、完璧に痙攣から治った時間
・猫が発作をおこすまえに普段と違う行動はしていなかったか
・気温と湿度
・日付
・以前の発作から何日たっているか
・発作前に食べたものやつまみ食いが疑われる食べ物
発作中は名前を呼ぶ
発作が起きているときは、体をゆすったり、触ったりすることは止めましょう。
口が開いていても水を与えたり、食べ物を与えることももちろんだめです。
するべきことは、発作中はつねに名前を呼びかけることです。
「たま」「大丈夫だよ」「よくなれよくなれ」「戻っておいで」など、声をかけて声に反応するかをよく見ておきましょう。
発作中は、意識がないはずなので、つうじょう反応はありません。
ある場合は治療方針が異なってくるので、声掛けは絶えず行いましょう。
物を片づける
周りに物があれば、できるだけ片づけましょう。
発作中は激しく手足や頭をバタバタ動かすので、強くあたればケガをしてしまいます。
とくに頭は危ないので、頭の付近にタンスの角などがある場合は、タオルやクッションをひいてカバーしましょう。
水に気を付ける
発作のとき、もっとも危険なのは水の中でおぼれてしまうことです。
てんかんがある猫の場合は、水槽にカバーをつけたり、浴槽のお湯は常に流す、フタをするなどして、ぜったいに溺れることがないように注意しましょう。
発作のあと
発作は起きているときは激しいですが、おさまるときはぴたりとおさまります。
嵐がさっと過ぎ去っていくようにおさまり、突然猫が目を覚まします。
発作の影響で呼吸は荒く、お腹がいつもより激しく動きます。
また、体は寝そべり、少しの間、「なにが起こったの?」というように、きょとんとしていることが多いです。
猫としては急に意識がもどるので、「なんだか体が疲れている」という印象なのだと思います。
長い発作のあとは、猫がなにかを感じ取って、すみや押し入れの中に隠れたりするので、そのときは深追いせず、ゆっくりさせてあげましょう。
危険な発作
・10分以上痙攣が続く
・痙攣をおこして、意識が戻らないうちにまた痙攣する
・1日のうちに3回異常発作がおきる
・暴れまわる
このような場合は、てんかんが命にかかわる重篤な症状を引き起こしています。
普段は見守っているだけでいいですが、このような場合はすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
処置が遅れると、後遺症が残り、元気がなくなったり、足がマヒしたりする症状が残る可能性があります。
てんかんの原因
てんかんは脳の病気で、脳には電気が通っています。
その電気が脳の神経を行き来しているうちに、ショートして、発作として痙攣がおこります。
つまり、どこかで脳にショック、衝撃があったことがてんかんの原因です。
・ジャンプしたとき強く頭を打ち付けたり、事故にあったりという、衝撃が加わるケース
・まだ脳が柔らかい子猫のとき、頭をぶつけてしまった
・難産のすえ、低酸素状態で生まれ脳にダメージを追う場合
・ウイルスにかかり、脳腫瘍などの病気の症状からてんかんが起きる場合
・去勢手術後
・出産後
おもにこのようなことが原因で、猫のてんかんは引き起こされます。
しかし、まったく原因が不明ということもあります。
猫のてんかんの種類は、ほとんどの場合「症候性てんかん」という種類になります。
てんかんとして症状がでる病気
・脳腫瘍
・脳炎
・肝性脳症
・腎不全
・猫伝染性腹膜炎(FIP)
てんかん発作が起きるタイミング
てんかんは起きる前に予兆があるとされています。
猫の個体差によって違いますが、予兆となるものを発見できれば、ある程度予防できることがあります。
予兆の原因はさまざま考えられるので、猫をよく観察してみましょう。
・天気の状態が悪い日
・気圧が下がったとき
・猫が甘えてくる、すり寄ってくるとき(猫本人には体の異常が感じられる場合があるため)
・平熱時より体温が上昇する
・食べ物を吐く
・いつもより元気がない、ぐったりしている
・頭を必要以上に毛づくろいする
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てんかんの治療
てんかん治療の目標は「生活の質の向上」
てんかんは100%治る病気ではありません。
しかし、治療をおこなうことで70~90%の発作頻度をおさえることができます。
発作の回数が減るだけと思うかもしれませんが、辛い状態の発作を目にする機会が少なくなることは、家族にとっても良いことです。
稀なケースですが、なかには薬を飲まなくていいまでに快復した猫もいます。
まずは30%から、発作頻度をおさえることを目標に、どんどん頻度を低く抑える治療をしていくことが重要です。
てんかんは発作頻度を少なくすることが重要であり、頻度が多くなればなるほど、重篤なケースに陥るためです。
てんかん治療は長期間にわたるケースが大半で、何年も治療と健康診断をして、体のメンテナンスをしていかなくてはなりません。
いっしょう治療を必要とする場合も多く、てんかんとはどのような病気なのかをよく理解し、落ち着いて対処していくことが必要です。
治療の副作用について
てんかん治療の薬には個体差があり、副作用のでかたもさまざまです。
まったく副作用が出ずに元気に過ごす猫もいれば、食欲がなくなったり、鳴き声を発しなくなったり、重い副作用になると、歩けなくなる場合もあります。
しかし、副作用は一時的なもので、治療が薬になじんでいけばいずれは収まるものです。
ここで副作用を怖がって治療を中止してしまうと、治るものも治らなくなってしまいます。
てんかんの治療中に注意することは、血液検査で血中濃度を検査して、効きをみながら血中濃度があがっていないかを確認することです。
そしてなにより、信頼できるお医者さんをみつけて、信じて治療を続けていくことが、てんかんに打ち勝つ方法です。
てんかんの治療費
・初診料 500円~1000円
・血液検査 5000円~8000円
・レントゲン 3000円~6000円
・ウイルス検査 4000円~9000円
・注射 1000円~2500円
・飲み薬1か月ぶん 5000円~13000円
てんかんの治療費としては、だいたい4万円ほど意識しておけばいいでしょう。
治療は長期にわたる場合が多く、飲み薬は月々5000円~13000円ほどかかってきます。
定期的に、血液検査、健康診断もしなくてはならないので、そのとき1万円ほどかかってきます。
そのため、てんかんの治療費は平均的に10万円程度といわれています。
うちのてんかんだった猫「マロ」
以前飼っていた猫「マロ」は、白黒ブチの元気な猫でした。
マロが16歳になったころ、「うちの猫はみんな長生きだね」なんて言っていたころ、突然マロに一度目のてんかん発作が起こりました。
そのときはまだ「てんかん」というもの自体知らなくて、ビクビクと見たこともないように苦しそうに体を動かすマロを、なすすべもなく見ていました。
触らなかったのは、怖かったことと、本能的に触ってはいけないのだと感じました。
これはおかしいと、すぐに病院へ連れて行き、てんかんが疑われるのでMRIを撮ったところ、脳に損傷が見つかりました。
マロは野良猫だったので、拾った当時はケガや寄生虫がたくさんいて、その過程で頭を強く打ったことがあるのかもしれないということでした。
脳の傷を治療するのはどうしようもないので、投薬治療がはじまりました。
発作を予防するためにしていたこと
治療で発作は月に1回ほどの頻度になり、平穏に暮らせていたほうだ思います。
一つ気が付いたことがあり、てんかんには起きる前なんらかの予兆があるといいます。
それは猫の個体差によりますが、うちの猫の場合は、体温が急に熱くなるという現象がありました。
そのため、4時間に1回ごとに体温をはかり、触ってみて熱をもっているようだったら、すぐに体温を測るようにしていました。
猫の体温を測るのは、3秒ほどで瞬時に測れるサーモフレックスが便利で使いやすいです。
サーモフレックス (Thermo Flex) サーモフレックス TF8731 (動物用)
マロの平熱は38.3度ほどだったので、それ以上の熱が検知された場合は、氷枕をタオルでくるんで冷やすようにしていました。
部屋の温度管理にも気を付けていて、暑いとクーラーと除湿器をつけて、快適な温度を保つようにしていました。
最終的に、てんかんは半年に1回程度にまで減り、最後はてんかんとは関係のない、寿命で天国へ旅立ちました。
てんかんが8か月も起きなかった最後だったので、マロも体が楽だったんじゃないかと思います。
てんかんは完治することは難しい病気ですが、頻度を少なくして、症状の度合いを小さくすることは治療しだいで可能だと思います。
てんかんの猫ブログ
うちの猫がてんかんになったとき、てんかんを起こす予兆のサインや、治療法はなにかないものかと、同じ悩みを持った飼い主さんのブログを読み漁りました。
そのとき、症状や対処法、そのときの気持ちがよく書かれている、参考になるブログがあったのでご紹介します。
愛猫ミレコロ日記
てんかん発作の様子や、独自の治療法で、なんとか猫に治って欲しいという愛情あふれるブログです。
てんかんを抱えるミレイですが、てんかんが起こりやすいとされる天気の悪い日にはやはり起こしやすいそうです。
またミレイの発作前の特徴として、1日前から人から離れずに、ぴたっと寄り添うようにしてくるそうです。
猫もなにか感じ取っているのかもしれません。
猫てんかんについての記述は、2012年8月まで記載があります。
猫達とにゃんたの弥次喜多生活♪
たくさんの病気を抱えた猫たちのブログです。
そのなかにてんかんを抱えた猫がいますが、副作用で認知症の症状がでて、トイレを家のあちこちでしてしまうすそうです。
また、昔のようにかわいく鳴くことがなくなったそうです。
うちの猫は副作用もほとんどなく、すぐに収まりましたが、酷い猫は酷くでるのだと感じさせられます。
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